分子標的薬は英語では何て言うの?そして気になる「標的分子一覧」
もくじ
- 「分子標的薬」とは?
- 「分子標的薬」を英語で言うと?
- 「分子標的薬」に関する英単語の意味
- 「分子標的薬」の標的分子の一覧
- 「分子標的薬」の問題点
1、「分子標的薬」とは?
分子標的薬とは、「がん」などの遺伝子変異した分子を標的として作用する治療薬のことです。
今までの「一般的な抗がん剤」の場合、がん細胞だけでなく、健康な細胞も攻撃してしまうことがありました。それが副作用となり、身体に負担をかける原因ともなっていたのです。「がん」になると遺伝子変異したタンパク質が増殖します。そのタンパク質や変異した遺伝子を標的として治療を行うのが「分子標的治療」なのです。
そうは言っても「分子標的薬」には副作用がまったくないというワケではありません。
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2、「分子標的薬」を英語で言うと?
「分子標的薬」は英語で何て言うんでしょうか?
医療の世界でもグローバル化は想像以上に進んでいます。そして海外では「分子標的薬」の研究も盛んにおこなわれているのです。
今後「分子標的薬」の英語の表現や、それに関わる言葉の英語知識も今度は今以上にもっと必要とされるでしょう。
日本語の「分子標的薬」は、「分子標的治療薬」「分子標的薬剤」とも言われます。
そして英語表記もいくつかの種類があります。
【「分子標的薬」の英語表記】
- molecular target drugs 検索数 6,440
- molecularly targeted drug 検索数 15,000
- molecular targeted drugs 検索数 27,000
- molecular-targeted agents 検索数 55,400
以上のような英語表記があります。
「検索数」は、語順をそのままで検索した結果の件数となっています。
ちなみに、「molecular target drugs」で検索すると
Did you mean: "molecular targeted drugs"(もしかして「molecular targeted drugs」のこと?)と表示されます。
3、分子標的薬に関する英単語の意味
molecular
英単語「molecular」は【形容詞】として「分子の」という意味になります。
target
英単語「target」は【名詞】として「標的」「的」「目標」という意味です。
英単語「targeted」で「狙われた」「対象とした」という意味になりますね。
drug
英単語「drug」は「薬」「薬剤」「有害な薬物」といった意味があります。
agent
英単語「agent」は「代理人」「仲介人」という意味のほかにも、医療分野においては反応して変化するという意味から「薬品」「作用剤」といった訳されかたがされます。
4、「分子標的薬」の標的分子の一覧
「分子標的薬」がターゲットとする分子の一覧表を作成しました。
アルファベット順に表記されています。
【分子標的薬がターゲットとする分子】
- ABL
- ALK
- BAFF
- BCL2
- Bcr-Abl
- BRAF
- BTK
- B4GALNT1 (GD2)
- CCR4
- CD3
- CD19
- CD20
- CD30
- CD33
- CD38
- CD52
- CDK4
- CDK6
- CTLA-4
- DNMT
- EGFR(HER1 / ERBB1)
- EGFR/Her2
- FGFR1-3
- FLT3
- GD2
- HDAC
- HER2(ERBB2 / NEU)
- Hh signaling
- IL-1β
- IL-6
- IL-6R
- JAK1/2
- JAK3
- KIT
- MEK
- MET
- mTOR
- Multi-kinases
- PARP
- PD-1
- PD-L1
- PDGFRα
- PDGFRβ
- PI3Kδ
- PIGF
- Proteasome
- PTCH
- RAF
- RANKL
- RET
- ROS1
- SLAMF7
- Smoothened
- SRCファミリーキナーゼ
- VEGFR1/2/3
- VEGFR2
- VEGF ligand
- VEGFA/B
以上が分子標的薬で標的とする分子の一覧となります。(2016年現在)
日本で承認されていないものも含まれています。また「分子標的薬」は日夜新しい研究が行われています。一覧に表示されていない「ターゲット分子」があるかもしれません。詳しくは、主治医や参照とした下記のリンクにてご確認ください。
MY CANCER GENOME
https://www.mycancergenome.org/content/molecular-medicine/overview-of-targeted-therapies-for-cancer/
モノリスLIFE.WEB
http://monolith-japan.com/kiji/2396/
化学療法基盤支援活動
http://scads.jfcr.or.jp/%5C/db/table.html#table1
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「分子標的薬」の問題点
「分子標的薬」は新しい「がん治療法」として期待されています。また新しい分子ターゲットに向けた研究も
盛んにおこなわれており、ますます「がん」に対する治療が今後大きく改善されるでしょう。
しかし「分子標的薬」は万能ではありません。問題点もあります。
1、副作用がぜんぜんないワケではない
一般的な抗がん剤よりは、副作用は少ないとされていますが、まったくないワケではありません。
実際には「分子標的薬」の副作用で困っている人もいるという現実があります。
2、どんな「がん」に対しても標的分子があるわけではない
がん細胞の遺伝子解析をしても、分子標的薬が存在しない標的分子の遺伝子異常だと判明することがあります。
その場合、分子標的薬での治療は困難と言わざるを得ません。
3、「分子標的薬」が必ず効くとは限らない
ターゲットとする分子に対する分子標的薬があったからといって、それが必ず効くとは限りません。
どんな薬もそうですが、必ず効く、治るものではありません。
4、「分子標的薬」が効いても、根治(治る)とは限らない
「がん」になった場合、薬によってそのがん細胞が消滅するとは限りません。
がんの進行を抑えたり、がん細胞を小さくすることはあります。
だからといってそのがん細胞が消滅するとは限らないのです。
5、「分子標的薬」は高額な場合がある
ゲノム解析で遺伝子異常の「がん細胞」の分子が特定されたとしても、分子標的薬によっては
とても高額な治療費になってしまう場合があります。
種類が絞られた大量生産される薬とは違い、ある特定の患者にしか効かないとされる分子標的薬は
まだまだ価格が高額な場合があります。すべての国民が利用できる価格にはなっていません。
また、海外では承認されている分子標的薬であっても、日本ではまだ承認されていないものもあります。
海外の人と日本人では体質もことなるため、海外で承認されている薬だからといっても、
安全だとは限らないのです。
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